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『パンダと爆買い』第7章 より深い相互理解を目指して 百聞は一見に如かず2

第7章 より深い相互理解を目指して
      百聞は一見に如かず2

 外国人には興味がない、外国人の友達も別にいらない、という日本人もいる
でしょう。無理につき合う必要はありません。が、今の時代、こちらが望まなく
ても、突然外国人が隣に引っ越してきたり、職場で一緒になったりということ
はあり得ます。日本人だけで世の中の全てが完結するということは、もうない
のです。ですから、うんと無理をする必要まではないけれど、できればうまく、
楽しくおつき合いできるに越したことはありません。もし、マナーが悪いなど
不満があれば、直接注意すればいいのです。日本人はこういうことについて
は遠慮しすぎです。もっとずうずうしく、言いたいことは言いましょう。
 そして、外国人とつき合う、外国に関心を持つということ=日本を失うので
はありません。むしろ、日本を外から見つめなおすいい機会になり、より日本
を深く知るきっかけにもなります。私も、外国人に日本語を教えるようになった
ことで、日本文化により大きな興味がわきました。というか、知らないと授業が
成り立たなかったので、必死に調べました。その中で日本文化の再発見が、
たくさんありました。
 交流する際の言語ですが、国際的=英語というイメージを持っている人も
多いと思います。が別に英語じゃなくたっていいのです。言語との相性もある
と思いますが、中国語や韓国語は漢字でつながっており、私は英語より勉強
しやすいです。これから、中国語や韓国語ができる日本人がもっと増えたら
いいですね。もちろん、日本語ができる外国人とは、日本語で交流できます
から、「英語苦手だし、どうしよう~」などと難しく考えず、もっと気楽につき合っ
たらいいと思います。どの言語を使うにせよ、完璧に、流暢に話さなくたって、
片言でも、ボディランゲージをまじえてでも、とにかく何とか通じ、楽しく話せれ
ば十分です。

 第1、第2章で書いたように、30年ほど前は、中国人が日本を旅するなんて
想像できないくらい、中国人にとって外国は、遠い存在でした。それを象徴
するような中国映画があります。1984年西安映画製作所でつくられた『人生』。
陝西省生まれの作家路遙(ルウヤオ)の小説『人生』が映画化されたもので、
日本でも上映されました。話の内容は、

  陝西省北部の荒れ果てた黄土地帯の農村を舞台に、80年代の青年像を
 描く。農民からなんとしても脱したいと思うが、挫折してゆく青年を主人公に、
 社会主義中国に生きる若者達のエゴの追求・悲劇的な運命を描いた話題
 作。
 (1985年中国映画新作フェスティバルパンフレットより抜粋)


 というもので、映画の中に、何とか農村から出て飛躍したい主人公の青年と、
彼を慕う農村の心優しい女性、そして彼らを温かく見守る村の老人が、馬車に
揺られながら話す場面が出てきます。三人で話すうち大都会天津の話題にな
り、老人が「天津か……天の果てだ」と言うんですね。天津に留学していた私
の大学の先輩によると、「この場面を見て天津の人たちはどっと笑った」そうで
すが、当時の農村の状況は、バカにして笑うことができないくらい、国内の
都市部に出るのさえ困難でした。
 今日本を訪れる中国人に、農村の人がいるのか、いるとしたらどれくらい
いるのかもわかりません。が、私は日本で観光や買い物を楽しむ中国人を
見る度、「天津は天の果て」という映画のセリフを思い出し、こうして外国に
出かけられるような時代になってよかった、と心から思うのです。
 お互いに行き来し、ときにはケンカもしながらも交流を深めていき、それが
平和な世の中へとつながればいいな、と願ってやみません。

写真は、『人生』原作と、上述の映画パンフの『人生』のページ。
原作は、80年代の中国留学時に、学校の近くで買いました。
留学中は、原作や台本を探しては読んでいました。
こういう作品を若いときに読み続けたことが、語学力はもちろんですが、
知識や考え方などの面にも、深く影響しているなあ、と思います。
もうボロボロですが、捨てられないですね。

2018年3月13日撮影 『人生』原作と映画パンフ
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プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

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