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『パンダと爆買い』第4章 ―おまけー 原文読書の幸せ

第4章 ―おまけ―
      原文読書の幸せ
 
  2016年の夏から秋にかけ、久しぶりに中国の小説を読みました。余華著・
『兄弟』。連れ合いを亡くした親同士が再婚し、父親の連れ子がお兄さん、
母親の連れ子が弟として、血のつながりのない二人が兄弟になります。
見た目も性格も違うけれど、実の兄弟以上に仲がいい二人。
 上下2冊に分かれていて、「上」では主に親の再婚、二人の子ども時代、
文革中の親の不幸な死などが描かれています。読みながら、時代の理不尽
さに憤り、虚しさを覚えるとともに、親子の愛がすごく伝わってきて、その気持
ちに圧倒されます。
 「下」では、子ども時代仲のよかった二人が対照的な道を進む様子が、
一人の女性をめぐる二人の運命と共に描かれています。やんちゃでエッチな
弟は、失敗を経験しながらも、大富豪に。勉強がよくでき、優しくおとなしい兄
は、弟と共に憧れていた女性を得、結婚したものの、やがてリストラに遭い、
転職もうまくいかず、転職先のある職場では肺の病気まで患ってしまう。何
とか再起をはかろうと、遠くの地に出てまでして努力するけれど、結局うまく
いかず、やっと帰った家に愛しい妻の姿はなく……
 飛躍的な経済発展を続ける中国で、成功者と落伍者がはっきり分かれて
しまうという現実があることを、兄弟の生き様を通して感じさせられました。
このように簡単に紹介してしまうのは気が引けるくらい、上下合わせて700
ページ以上と量も多く、中身の濃い小説です。親子、兄弟の強い愛、中国人
の生きるエネルギーの強さなどを感じると同時に、経済発展によって貧富の
差が広がり、うまくいかない人たちだけが一見不幸のように見えるけれど、
大富豪になった人も決して幸せではないのかなあ、人の幸せって何なんだろ
う、と考えさせられ、ずしりと重いものが心に残りました。
 学生時代、原文で読書ができるようになってから、その面白さにはまり、
小説はもちろん、社会、歴史、文化その他中国語で書かれたいろいろな方面
の本を読みました。それは、私の体の内部にしっかり入り込み、私自身を
形成する重要な要素になっています。
 が、韓国語の勉強を始め、韓国の本を読むようになってからは、中国語での
読書から遠ざかってしまいました。韓国にも中国語で書かれた本を持って行っ
たけれど、韓国での生活に適応するのにいっぱいいっぱいで、中国語での読
書どころではありませんでした。
 日本に戻り、このように中国語での読書を再開し、その面白さや奥深さを改
めて感じています。聞き取りや会話力はかなり落ちてしまったけれど、読書は
ブランクがあったにもかかわらず大丈夫で、韓国語よりも読むのは負担があり
ません。中国語での読書量のほうが韓国語のそれよりもずっと多いですから、
今までの読書量の違いが、このような形で出ているのでしょう。
 もし、かつて勉強した外国語から疎遠になっている人がいたら、ぜひ久しぶ
りに本を読んでみてください、とすすめたいです。絵本など、子ども向けの本
でもいいんです。それは、ビジネスに直結するとか、経済的利益まではいか
なくても、心が豊かになり、幸せな気持ちになり、生きるエネルギーとなります。

*昨秋か今年初、同じような文章をブログでも書いていますが、『パンダと爆
買い』の文の一部として、載せました。
『兄弟』を読み、さあこれから中国語再開!と思ったものの、今年は韓国語
の原稿書きの関係で、また遠ざかってしまいました。いつかまた再開したい
です。でも、今年から中国語の入門レッスンを個人的に始めたので、音の面
からは、少し蘇っています。若いころにしていたことは、ある程度の歳になっ
ても、体に残っていますね。
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プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

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