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余華著『兄弟』(上下) 夢中になって読了

6月、引っ越しもあるし本を整理しよう……と本棚をながめると、まだ読んで
いない本がたくさん!
その中から、中国人の知り合いからもすすめられ、ずっと気になりながら
長編なので読まずにいた小説がありました。

余華『兄弟』(上下)

ちょっと最初の部分を読んだら面白そうで、読み始めてしまいました。
引っ越しの荷造りも膨大な量だというのに。

引っ越し作業が特に忙しかったときは、しばらく中断していましたが、
少し落ち着いてからは続きが気になり、読書再開。
そして、昨晩読み終わりました。

『兄弟』は、日本でも翻訳版が出ていますので、ぜひ読んでみてください。
私は中国語で読みました。
上下合わせて、700ページ以上。
この長さに、なかなか挑戦できなかったのですが、読み始めたら早く先が
知りたくて、途中飛ばし読みもしながら、また、先の方をパラパラめくって
どうなったのかざっと見ながら、進めました。
原文の全ては理解できません。
だから、訳者はすごいと思います。
でも、楽しみで読む場合、粗筋がつかめ、面白いと感じて読めればOKです。

若いころは、小説が好きでした。
が、年齢とともに、小説をあまり読まなくなってしまいました。
以前読んで感動した小説も、何年も経ってから読むと、そうでもない。
なので、先が知りたくてつい夜更かしをして読んでしまう、という体験は、
本当に久しぶりです。
読み終え、ホッとした気持ちと、今晩からはこの楽しみがなくなる、という
ちょっと寂しい気持ちです。

詳しい内容は、検索したらいろいろ出てくると思うので、そちらをご覧
ください。
連れ合いを亡くした親同士が再婚、父親の連れ子がお兄さん、母親の
連れ子が弟として、血のつながりのない二人が兄弟になります。
見た目も性格も違う二人。
だけど、実の兄弟以上に仲がいい。
「上」では、二人の子ども時代、文革中の親の不幸な死などが描かれて
いるのですが、時代の理不尽さに憤り、虚しさを覚えるとともに、
親子の愛がすごく伝わってきて、その気持ちに圧倒されます。

「下」では、子ども時代あんなに仲の良かった二人が、対照的な道を
進む様子が、一人の女性をめぐる二人の運命と共に描かれています。
「下」は、正直読むのがしんどいなあと思う部分がありました。
性的な描写や、女性からしたらちょっとなあと思うヘンな美人コンテスト
などなど。
別に自分が潔癖症というわけじゃないし、こういった生々しい部分も
人間の欲や生そのものなんですが、個人の好みとして、あまり読み物で
読むのは好きじゃないですね。
韓国で大ヒットした長編小説『ジャングル万里』を、途中で読むのをやめて
しまったのも、韓国語で読むのがしんどいというよりは、下品な場面が
少なくなかったからです。
ですので、あまり好きでない部分がありながらも最後まで読んだのは、
『兄弟』がやはり魅力ある小説だからでしょう。

小説を、社会や歴史を知るのが主目的で読むのは、あまり好きではありま
せん。
が、『兄弟』を読んでいて、飛躍的な経済発展を続ける中国で、成功者と
落伍者がはっきり分かれてしまうという現実があるということも、感じさせ
られました。
最初は、やんちゃでエッチな弟より、教養もあり大人しい兄のほうが、人生
うまく行くような予感がします。
が、予想は見事に裏切られ、弟は失敗を経ながらも、大富豪に。
兄は弟と共に憧れていた女性を得たものの、やがてリストラに遭い、
転職もうまく行かず、転職先のある職場では肺の病気まで患ってしまう。
その後はかわいそうすぎて、ちょっと書けません。

兄弟の運命が、あまりにも対照的すぎて、ハチャメチャな設定のような
気もするけれど、現実に大富豪も出現していますし、一方で貧困問題も
深刻化している。決して誇張されすぎた話ではなく、急速な経済発展の
複雑な側面を、小説を通して感じました。
きっと、みなで同じ釜の飯を食べる時代だったら、兄のほうは平穏で幸せな
一生を送っていたことでしょう。
でも、大富豪になった弟がそれで幸せになったかというと、兄も失い、
そうとは言えない。
うーん、考えさせられますね。

中国語がわかる人には、ぜひ原書をおすすめします。
文章は、難解ではありません。
中国の魅力を、ますます感じることになると思いますよ!(^^)!

2016年6月22日撮影 余華著『兄弟』
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プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

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