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申京淑 盗作問題を見て……

このところずっと気になっていた、申京淑(シンギョンスク)の盗作問題。
申京淑の作品『伝説』の一部が、三島由紀夫の『憂国』の韓国語翻訳版と酷似
しているというものです。
東亜日報の関連記事を読んだりネットで調べたりしてみました。

6月25日の東亜日報には、ツイッター、ブログなどSNSで「신경숙」(申京淑)、
「한국문학」(韓国文学)について書かれた文の「연관어」(連関語)で多かった
ものが挙げられていました。
盗作問題が報道された6月16日から23日までに書かれたものを分析。
感情に関わる連関語で特に多かったのは、ダントツが「표절」(剽窃)。
その他논란(論難)、의혹(疑惑)、타락(堕落)、비판(批判)など、否定的な
ものばかりです。
申京淑は韓国の代表的作家。
大ベストセラーになった『엄마를 부탁해』(母をお願い)は日本ではもちろん、
世界各国語に翻訳されています。
私も申京淑の作品を、『엄마……』を含め3冊買いました。
1冊は読了。面白かっただけに、よけいに残念です。

ただ、申京淑の盗作問題は、つい最近始まったことではないようです。
東亜日報には、申京淑に限らず、なぜこういう問題が起こるのか、その原因
として、閉鎖的な文壇、権力を持つ大作家と大手出版社の癒着、著作権関連の
規則の問題などが挙げられていました。
かなり複雑な問題なので、いろんな人に話を聞き、多方面から調べてみないと
わかりませんから、今回はこの程度にとどめておきます。
試しに「申京淑」で検索してみたら、「申京」と入力した時点で、「申京淑 三島」
なんて出てきました。漢字入力だからか、中国語の記事も出てきました。

ところで、なぜ盗作なんてするのでしょう?
私は盗作をする人の「心」のほうにより関心があります。
盗作とは直接関係はないかもしれませんが、私自身が経験した大変嫌なことを
今回の事件で思い出しました。

ソウルに住んでいたとき、ある日本人ライターがガイドブックを作る仕事を
手伝いました。といっても、無償です。大手の本には取り上げられないような
魅力ある店や美術館などを知ってもらいたくて協力しました。
いくつもの飲食店や見所を紹介。
「紹介者のコメントを載せるから、考えておいてください」ということでしたが、
いつまでたっても連絡なし。
そしたら、「もう本屋に並んでま~す」とのメール。
あれ!? 私のコメントは……
問いただしたら、「私が適当に書きました~」と、悪びれた様子もなく。
しかも、こんな風に書きました、と、私が紹介した店や名所について著者が適当に
書いたコメントをずらーっと並べメールしてきました。
紹介者の名前も、同じだとまずいので、適当にいくつもつくりだして書いたそう。

悪い言葉でいえば、捏造。まあ、いいんですけどね……悪いこと書かれたわけ
じゃないし。捏造というのはオーバーかもしれない。
ただ、自分が言った覚えのない言葉の数々を勝手に書かれ、しかもいまだに
本屋に行くとあるという……(@_@;)

著者がなんであんなことをしたのか、いまだによくわかりません。
ただ、取材に同行していていつも「おかしいな」と思っていたことがあります。
韓国語、簡単なこと以外わからないのです。
なので、ちょっと複雑な話になると、私が日本語に訳したり、また著者が
質問したいことを韓国語に訳したり。(私もとても完璧ではないものの、
わからないところは聞き返すなどして、何とか)。

コメントを勝手に作って書かれた、とわかった時点で、私を何度も取材に
連れて行ったわけが、なんとなくわかりました。
韓国語があまりできないということを、出版社などの関係者、読者や
ファンに対して隠したかったんだな、と。
韓国に関することは、とにかく何でもかんでも、自分一人でやった、誰にも
手伝ってもらっていない、と思いたいのだ、と。
そこまで無理しなくてもいいのにねえ~ いつかばれちゃうんだし。
まあでも、このタイプの人―何でもかんでも一人占めしたい。そのためには
うそもつくし他人の力も勝手に使う―は他にもいるし、きっと周りから指摘されて
もなおせないんだろうな、と思います。
利用されないように、気をつけるしかないですね。人を疑うのは悲しいですが。

ちょっと長くなりますが、これには何ともマヌケなオチが。
私自身も本を出してから、トークショーをとの話がありました
(まだやっていませんが)。
提案されたのは、この著者との\(◎o◎)/!
しかも、何も事情を知らない二人の方から同じ提案が……
私の知っている善良な人たちを、よくも……
もっと他にいないのか!? 日韓をつなぐ「人材」、よほど不足しているのか!?
と、ショックです。たまたまこうだったと信じたい。
まあ、いいですけどね、一緒にやってみても。
ただ、ガイド本ができるまでの内幕を披露します!なんて韓国ドラマみたいに
しゃべってしまうかも(^_^;) そうしたら、私も「堕落」してしまう……
ただ、そういうトークショーの場面をちょっと想像してしまいました。
ま、想像だけなら

コメントを勝手に書かれてからもなお、著者からは電話がありました。
さすがに怒りました。「私みたいなのを連れて行かないと取材もできないんじゃ
なく、一人で取材できるように、韓国語しっかり勉強しなさい!」と言って、
電話を切りました。
あれから2年。著者の韓国語能力が少しでも向上していて、単独で立派な
取材ができていることを、望みます。より質のいい日韓関係のためにも―

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Comment

嫌な思いされましたね・・ 

ネットが普及し、簡単に人と繋がる事が出来る反面、善良な人を利用して有名になって行く人をたまにですが見かけます。人付き合いにおいても、この人は自分にとって有益な人かどうかを最初に探ってから交友関係を結ぶ人も多く見かけます。まぁそれはそれで自分が成功するのには不可欠な手段かもしれませんが、最低限のマナーは守って頂きたいですね。韓国本においても、売ろうと言うのが先行し、どこかから拾ってきたような似たり寄ったりの本が溢れました。その点はこさんの本からは、本当に韓国について伝えたい。友好関係を築きたいと言う心が伝わって来ました。ちゃんと一つの事を掘り下げて調べられている事が分かります。それって膨大な時間を実は費やしているんですよね。しかも韓国語ですし・・
それをあっさり情報だけ抜き取られると悔しいと思います。私も同じタイプなので気持ち理解出来ます。
  • posted by さらん 
  • URL 
  • 2015.07/22 16:26分 
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  • [Res]

ありがとうございます 

さらんさん、ありがとうございます。
そうなんです、下調べには多くの時間を費やしています。韓国語の資料を読むのに時間がかかるという私の能力の問題も
あるのですが。それでも、知りたくて、伝えたくて調べているうちに、だいぶ読めるようになりました。
なんとかコツコツと続けてこられたのは、さらんさんのように、目に見えない部分も理解して読んでくださる方が存在
しているおかげです。どれだけ励みになっているか(*^_^*)

日韓関係がよくないのは、嫌韓本が溢れている状況からもわかりますが、実は私を利用した人のようなタイプの人間が
強い力を持っていて、誠実、良質な情報が増えないことも原因のひとつではないかと思います。
残念ながら、マスコミにも一部そういう人がいます。日韓交流は口だけ、実は自分の出世優先?という……
社会的に本を出す力などなかった私がどうしても出さなければと思い、なんとか実現させたのも、このまま傍観している
だけでは関係がよくならないと痛感したからです。
これからもがんばっていきたいと思います(^-^)
  • posted by はこ 
  • URL 
  • 2015.07/23 11:23分 
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  • posted by  
  •  
  • 2015.07/24 01:04分 
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プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

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