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テソロ7月号 『不思議がいっぱい韓国』でも取りあげた二人が登場

テソロ7月号。
韓国のお一人様の話や、夏バテにききそうな食の話など、気になる話が
いろいろ載っています。
そして、今月号で特別うれしかったのは、『不思議がいっぱい韓国』最終章の
一番最後の話「日韓をつなぐ 心の支えになる言葉と人」で取りあげた三人の
うちのお二人・兪弘濬教授と薩摩焼十五代沈壽官さんが登場していること!
兪弘濬教授はインタビュー記事、沈壽官さんは時論に『陶房雑話』という
タイトルで。
ぜひ多くの人に読んでいただきたいです。

どちらも、印象に残る言葉がいくつもあるのですが、その中でも、『陶房雑話』
の後半部分の「韓国における技術者への視線」を読んで感じたことを
書きたいと思います。

韓国とある程度の付き合いのある人は、何らかの形で感じたことがあると
思いますが、日韓では「ものづくり」への考え方が違います。
『陶房雑話』にも、「(韓半島には)貴い者は、汗をかかないといった階級意識
が古くから根強く存在する」とあります。
そして、早稲田大卒の沈壽官さんは、早稲田を出たのになぜ焼き物作りを
するのかと、韓国人に真剣に訊ねられたことは一度や二度ではない、と。
一流大卒=汗をかかない仕事に就く、という考えがあるからのようですが、
これは私もずっと感じていて、『不思議……』最終章の「科挙と平等社会」
という話でもこれについて書きました。
きっと、私たちが想像する以上に、こういう考え方との接触はずっと多かった
だろうなあ、と思います。
ソウル滞在中に芸術の殿堂で沈壽官家の薩摩焼の展覧会があり、私も
行ったのですが、来ていたお客さんたちは、真剣に作品を鑑賞していました。
あの素晴らしい作品の数々から、ものづくりについて何か新しく感じてくれる
ところがあればいいなあ、と、ふと思いました。

もうひとつ、印象に残ったのは、「何故日本人はこれ程までに焼き物が好き
なのだろう」ということについての考えです。
沈壽官さんは、『割れる』ということに起因するのではないか、と。
割れる=死。
地震、津波、台風、噴火といった天災の実に多い日本。
自然の猛威に繰り返し叩きのめされる中で生まれる諦めの境地―無常観。
形のあるものは、人は、いずれ必ず死ぬ。
割れる焼き物に日本人が惹かれるのは器に『命』を感じるからではないか、と。

この見方には、本当に感嘆するとともに、共感します。
実はテソロを読む少し前、ご本人にお会いする機会があり、この話を
聞きました。
それをもう一度文章で拝見して、より深く私の心に刻まれました。

韓国に3年住み、感じたことは実にいろいろありますが、中でも自然災害に
おける日韓の違いについては強く感じました。
ソウルにいた3年間、天災が少ないなあと、どれだけ感じたことか。
もちろん自然災害がないわけではありませんが、日本よりは少ないです。
そして、一時帰国の度に、地震や台風のニュース。
特に印象強いのは、ソウルで珍しく豪雨の続いた2011年夏。
記憶違いでなければ、一夏で全国50人以上が亡くなりました。
でも同じ年の夏から初秋にかけての時期、日本では一度の台風・豪雨で
何十人も亡くなってしまいました。
日本はなんて自然災害が多く、苛酷なのだろう、と痛切に感じました。

自然災害の多さが、日本の社会や文化、宗教観や人生観など様々な面に
おいて大きな影響を与えているのでは、と、日本を離れ生活するという経験を
経て、実感しています。
こういった自身の経験や思いもあって、沈壽官さんの言葉が強く響きます。
日韓関係を見つめるにあたっても、もっとこういう観点から考察していけば、
わかることも少なくないのではないでしょうか。

2015年7月14日撮影 テソロ7月号




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Comment

焼き物 

食器を見るのが好きで、訪韓の旅にお店を覗いてみますが、なかなかお手軽価格で良いと言う物に出会えません。
窯元が多い九州に住んでいるためにそう思うのかもしれませんが、韓国の陶器は工芸品と日常使いの食器に大きな差があるように感じます。
いいなと思う食器は、韓国の方が1ケタ高いと思います。
高いから一般的に普及しないのか、普及していないから
高いのか?
折角高い技術があるのに残念な気がします。
これも経済発展と共に徐々に変わって行くのでしょうが・・

韓国は汗をかく職業の人達を下に見ていて、自分の子供をホワイトカラーにするのを理想としていると言うのは、
韓国に行くと度々感じます。
逆に日本に来て、職人さん達がプライドを持って仕事をしているのを見て驚いたと言う話も聞いた事があります。
日本で技術の高い職人さん、作家さん達を沢山紹介すれば彼らのプライドの維持にも繋がるし、自国でももっと評価されるのではと思いますがどうでしょう?
  • posted by さらん 
  • URL 
  • 2015.07/15 16:01分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 焼き物 

窯元が豊富で質の高い九州から韓国に行くと、食器を見て、あれ? と不思議に思い、がっかりされることかと思います。
私も食器が好きで、韓国に引っ越した当初期待したことのひとつは、いい食器を買うことでした。が、利川で買った青磁のカップがいとも簡単に壊れてしまい、値段の高さに見合わないと感じ、それ以来韓国で食器を買う楽しみはあきらめました。
いいものもあるにはあるけれど、おっしゃる通りとても高いので。
韓国の食堂で、プラスチックや金属の容器ばかりで、陶器がなぜあまり使われないのかについては、ひとつふたつの理由だけでは
わからなそうです。とても関心があることなので、今後も調べていきたいです。

職人さんの地位向上については、なかなか一筋縄ではいかなそうではありますが、変えようと努力している人たちもいますし、少しずつ変化も感じています。気づいた日韓の人たちで積極的に発信していけるといいな、と思います。
  • posted by はこ 
  • URL 
  • 2015.07/16 12:50分 
  • [Edit]
  • [Res]

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プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

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