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東日本大震災から4年 震災直後のソウルへの引っ越しを振り返る 1

まもなく東日本大震災から4年。
私は震災直後の3月末、東京からソウルに引っ越しました。
引っ越し前後には、いろいろしんどいことがありました。
今でも思い出すとつらいです。
ただ、亡くなった人や、大事な人を亡くした人、家を失った人、職を失った人……
そのことを思うと、自分が当時大変だと感じていたことは、大したことはないのかも
しれません。
そういう気持ちもあり、当時のことは断片的には書いていたかもしれないですけれど、
こうしてタイトルをつけてまでは書けませんでした。
でも完全帰国し、やっと振り返って書いてみよう、という気になりました。

震災発生時は、都内のマンションにいました。
揺れの強さはもちろんですが、揺れた時間の長さがもっとこわかったです。
二日後に船便搬出を控え、荷造りはかなり進んでいました。
そのおかげか、破損したものはほとんどありませんでした。
うちは本が多いので、もし荷造りしていなかったら、いろんな物が飛び出て
もっと大変だったかも、と思います。

翌日は、都内の多くのマンションがそうだったように、エレベーターが止まりました。
船便搬出なのに、どうしよう……引っ越し会社に聞いたところ、3階だから、
階段を使ってでもやります、とのこと。
幸い搬出日はエレベーターも動いたので事なきを得ました。
ただ、あのころガソリンが不足し、引っ越し会社もガソリン確保が大変だったよう
です。そんな中、船便、航空便、そして国内の倉庫に保管するもの全てを無事に
運んでくれたこと、今でも感謝しています。

ガソリンはもちろん、当時米や水その他食料品が手に入りにくくなりましたよね。
私は引っ越しの関係で生鮮食品や調味料など、自炊用のものをほとんど処分し、
調理器具も一部を残し梱包していました。
出発日までは、外食や中食で済ませるつもりだったのです。
が、弁当一つ買うのが困難になり、お菓子で済ませることもありました。
温かい弁当をやっと手に入れ、荷物もほとんど運んでガランとした部屋で食べた
とき、どんなにありがたかったか。
ソウルに行き、店頭に飲料水や生鮮食品がずらりと並んでいるのを見たときは、
思わず涙(;;) と同時に、モノがあふれ、いつでも手に入る状態に慣れてしまうと、
人間はこんなにも弱くなるのか、とも感じました。

韓国に移ってからは、会う人会う人「大丈夫ですか?こわかったでしょう」「身内の
方は無事ですか?」などとずいぶん声をかけてもらいました。
中には、「あなた、放射能ついてないでしょうね?」などと冗談っぽく言ってくる人が
いて、とてもつらかったですが、この人は家探しのときたまたま会った人で、
友人知人でこういうことを言ってくる人は、一人もいなかったです。
言われて複雑な気持ちになったのは、「(地震のない)安全な所に引っ越してきて
よかったですね」という言葉でした。
相手が気遣って言ってくれているのはよくわかっています。
たしかに、余震には悩まされました。羽田空港を発つ直前まで揺れましたから。
韓国に行けば、しばらく地震を感じないですむ、という気持ちが全くなかったわけでは
ありません。
が、東日本には身内もいるし、友人も多い。
その人たちをのこして離れるのは本当に心配で、つらかったので、「ソウルに来て
よかったですね」と言われる度に、答えに困ったものです。

引っ越してしばらくしてから心配の種となったのは、荷物の受け取りです。
放射能の問題もあり、検査が厳しくなっていて、特に食品の受け取りに支障が
出そうだと聞き、とても不安になりました。
ただでさえ、慣れない外国生活なのに、頼りにしている日本の食品が受け取れ
なくなったらどうしよう、と。
幸い、全て受け取ることができたのですが、日本から送った食品を、うまく受け取れ
なかった人もいたと聞きました。

このように引っ越し当初は、いろいろあり、特に放射能のことを考えると、日本から
来ました、と積極的には言いづらい状況でした。
でも、タクシーの乗車拒否とか、飲食店などへの入店拒否とか、マンション入居の
際日本人お断りとか、そういうことは、私は一切経験しませんでした。
もし本当に偏見に満ちていたのなら、そういうこともあったかもしれないですが、
少なくとも日本人の私の前で心ない態度を取る人はいなかった、ということは
言っておきたいです。

次回は、震災に関し、引っ越してしばらく経ってからの体験を―

写真は、2011年4月4日朝鮮日報の一面です。
震災から3週間後、漂流する屋根に乗っかっているところを救助された犬について、
「奇跡の犬」として報道しました。

2015年3月9日撮影 2011年4月4日朝鮮日報 「奇跡の犬」1面



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プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

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