Entries

ソウル 思い出の博物館美術館 澗松(カンソン)美術館 

ソウル滞在中の3年間、いろいろな博物館美術館に通った中で、最も印象が強い
のはどこか、ひとつ挙げるとしたら、迷わず澗松美術館を選びます。
といっても、ソウルに引っ越す前から、澗松美術館の存在を知っていたわけでは
ありません。それどころか、全く知りませんでした。
2011年春に引っ越したころも、展覧会が開かれていたはずなんですが、そのときは
知らなかったので、行きようがありませんでした。

澗松美術館は、日本の植民地時代、朝鮮美術や文化財を収集、保存し研究に
尽くした澗松全鎣弼(カンソンジョンヒョンピル)(1906~1962)氏のコレクションを
展示する私設美術館。「澗松」は、彼の雅号からつけられました。
澗松美術館は、金弘道(キムホンド)や申潤福(シンユンボク)の絵画など、韓国に
関心をもつ人ならおなじみの人物の作品をはじめ、国宝、文化財などを所蔵。
所蔵品は「国民の宝」ということで、入場無料です。
春秋の各15日間のみ一般公開され、展覧会の度に多くの人が訪れます。
2011年秋の展示は、平日と週末2度足を運んだのですが、週末訪れたときは、
なんと3時間待ちでした。
5度の展覧会に計6回行きましたが、並ばずに入れたのは、中国・明清時代の絵画
のみの展示で、朝鮮王朝の絵が見られなかったときだけ。
館内はいつも混雑。おしゃべりしたり、スマホで通話しながら見ている人もいて、
ただのミーハーかな?という観覧客も来ているようでしたが、
熱心に見入っている人も。
「ああこの絵、学校の教科書に出てきたね」とうれしそうに話す人、
子どもに絵ひとつひとつについて得意げに語る親……
ここは、韓国の人の心のよりどころなのかな、と感じました。

澗松美術館では、すばらしい作品の数々と出会いました。
落ち着いた気持ちにさせてくれる山水画。
大きなものもあれば、小さな限られた紙面に描かれたものもありました。
が、小さな紙でも、その描かれた風景は、海も山もはるか遠くまで続くよう。
ほっこりさせてくれる愛らしい動物や植物の絵。
生き生きと描かれた風俗画。

ソウル市北部城北洞の、静かで落ち着いたいい感じの場所に位置する澗松
美術館。作品もいいし、本当にお気に入りの美術館でしたが、ずっと気になる
ことがありました。
それは、建物の老朽化。
展示ケースも古く、カーテンの隙間から日が当たり、いつも大丈夫かな?と心配
でした。その上、狭い展示室に人がたくさん入るので、見るのも一苦労。
どこか他の所で見られるようになるという噂は聞いていたものの、私が帰国する
までに叶うのかな、と。
それが、2014年3月帰国ギリギリ、間に合いました。
澗松美術館の所蔵品が、東大門デザインプラザで見られるようになったのです。
詳細は、2013年8月10日、2014年3月20日、3月26日ブログ記事に載せています。

澗松美術館が最も心に残る美術館、というのは、いい作品を持っているから、
というだけではありません。
この美術館を知ることによって、韓国をどう見るかとか、いろいろ考えさせられた
からです。
ソウルに引っ越す前から、韓国語には興味があり、勉強していました。
旅行でも何度か訪れています。でも、韓国の美術について、自分はどれだけ知って
いるだろうか?と考えると、画家の名前もほとんど知らなかったんですよね。
澗松美術館が、韓国紙でもしばしば話題になり、展覧会に多くの人が詰めかける
様子を見、もっとこういう視点から知らなきゃいけないんじゃないかな、と思うように
なりました。展示がある度に通いつめたのは、一番はやはりすばらしい作品に会い
たかったからですが、ソウルに住んでいる間は、少しでも多く韓国の美術について
知りたい、という気持ちからでした。
それは、画家の名前を自慢げに何人もスラスラ言えるように、というのでなく、
美術から韓国の人の心を知りたかった、という気持ちです。

2011年春ソウルに引っ越したころは、まだ生活にも慣れておらず、韓国紙を読む
のもまだしんどく、見出しだけ見るのがやっとという状態。
とても展覧会情報なんて得られません。
夏に延世大語学堂に通い始め、生の文章が読めるようになり、家で取っていた
韓国紙を見るようにしました。その中で、澗松美術館の展覧会情報をつかんだ
のです。が、どうやって行っていいのか……
そんなとき、語学堂の同じクラスの班長さんが、澗松美術館に行くツアーを計画
してくれたのです。本当にありがたかったですね。
彼に連れて行ってもらったおかげで、その後一人でも行くきっかけができました。
今でも感謝しています。

ソウル滞在中に、澗松の伝記も読みました。
2014年3月21日のブログ記事で、本の紹介をしています(カテゴリー 本 映画)。
とてもいい本なので、ぜひ多くの人に読んでほしいです。

日本でも、澗松美術館のことを、もっと報道してほしいですね。
北の脅威、反日感情、最近では韓国の事故報道。
大事じゃない、とは言わないけど、文化財とそれを守った人という側面に、
もっと光が当てられてもいいのじゃないか、と思います。

写真は、2013年5月撮影。

2013年5月15日 澗松美術館 入口の写真
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

最新記事

右サイドメニュー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR