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キムエランがおもしろい 『비행운』(ピヘンウン 飛行雲)

本の紹介は、久しぶりです。
読んだのはだいぶ前なんですが、書こうと思いながらなかなか書けず。
時が経ち、内容についての記憶も薄れていってしまい、
ますます書きづらくなってしまいました。
それでも、面白くて、ぜひ一度、と思っていたので。

김 애란(金愛爛 キム エラン)『비행운』(飛行雲 ピヘンウン)

2014年6月30日 キムエラン作品

「飛行雲」は、日本語の「飛行機雲」。
写真左側の本です。
(文中では、『飛行雲』と書きます)

キムエランの作品との出会いは、延世大語学堂6級卒業後、
7級の授業ででした。
読解の時間に小説が読みたい、という学生のリクエストにこたえ、
先生が持って来たのが、キムエランの短編小説。
小さな食堂を営むオモニ(お母さん)を娘が描く、というものでした。
この話は、今回紹介する本でなく、写真右側の本に入ってます。
当時私は、小説を読むなんてレベルではなく、予習で結構苦戦したのを覚えて
います。
でも、これが面白かったんですよね~
この話の紹介だけでも、記事一回書けそう。
これをきっかけに、キムエランの作品に興味を持ち、一昨年『飛行雲』が韓国紙に
紹介されたのを見て、買いに行きました。

『飛行雲』には、短編8つが収められています。
登場人物は、どれも、普通の人たち。
とびきり美人とか、大金持ち、超エリートなどは登場しません。
ごく普通のOLや女子大生も出てきますが、どちらかというと、経済的にも社会的にも
あまり恵まれない、言葉はよくないけど冴えない人たちの方が多いです。
劇的なストーリー展開でもないし、熱烈な恋愛ものでもない。
淡々とした展開のものが多いです。

キムエランは1980年生まれ。まだ30代なんですよね。
若いのに、こういった普通の人たちの描写がとても上手いなあと思いました。
パッとしないタクシー運転手の人生、仲良し女子大生が海外旅行に行き、
小さなことから次第に距離が生じていく様子、憧れていた先輩のため一生懸命に
なったのに、裏切られてしまった女の子……
中でも印象的だったのは、仁川空港の清掃作業をする中年女性を描いた話でした。
次々と人が空高く飛び立っていく中、空港から離れられない女性。
夫には先立たれ、いつか海外旅行に行こうと言っていた息子は牢屋に。
息子が希望していた海外留学は、夢のまた夢、飛行機雲のかなた向こうに―
話は、主人公や息子に幸運が訪れ、ハッピーエンドに終わるものでもない。
ある韓国紙には、「飛行雲」は、同音異議の「非幸運」ともとれる、と。
でも、なぜか魅かれる。もう一度読んでみたいです。

この本の作品も、初めて読んだ作品も、特にすごい人が出てくるわけでもなく、
景色も絶景やステキな家並みが出てくるわけでもありません。
家の中の描写にしても、そうです。
でも、そういう場面を描くのって、逆に難しいことかもしれない。
読者の好みは分かれるかも知れませんが、私はいいな、と思いました。

中国語の勉強をしていたとき、小説との出会いは留学先の学校の読解テキスト、
ということが少なくありませんでした。
韓国語も、ほぼ同じ。学校で習った作品で興味を持った作者の他の作品を探す、
という感じです。
特に、韓国紙で紹介されていたものは、すぐ探しに行きました。
こういうきっかけがなかったら出会っていなかった本たち。
紹介してくれたテキストや先生方に、改めて感謝したいと思います。




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Comment

私にも読めるでしょうか? 

読み物関連の記事嬉しいです。こちらのブログで知った益田ミリさんの翻訳マンガを4冊買い、ほぼ辞書無しで読めたんですが、小説だとかなり難しそうですよね。短編ならちょっと頑張れば…やはり難しいでしょうか?次回旅行で行った時に書店で探してみますね。
  • posted by うー 
  • URL 
  • 2014.07/07 22:39分 
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Re: 私にも読めるでしょうか? 

以前紹介した本読んでいただいて、とてもうれしいです。しかも4冊もほぼ辞書なしで!それだけ読めたら、小説もぜひトライしてみてください。いきなり長編は大変だけど、短編は大丈夫ですよ。100%わからなくても、あらすじがわかり、何が言いたいのかなんとなくわかり、面白かったと思えれば大成功だと思います。
それより、自分の好みに合う本かどうかの方が大事になるかなあ~ キムエランの本は、読者によって好き嫌いが分かれるかもしれませんし。
ジャンルとしては、短編小説の他、エッセイ、旅行記のようなものも読みやすいです。近々そんな記事も書こうと思います。
  • posted by はこ 
  • URL 
  • 2014.07/08 08:49分 
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いつもありがとうございます 

いつも書き込みへのコメントありがとうございます。人柄を感じてしまいます(癒)
すーちゃんシリーズはとにかく文字が少ないですよね、あれで読めたと言えるのか??逆にあの文字の少なさで色々感じさせるのは凄いと思いました。비행운は紹介文を読むと、ハッピーじゃないけど、救いようがない程の不幸でもなく、そこそこ冴えない人々の淡々とした日常、と言う感じでしょうか?韓国ドラマの題材にはならなそうですね(笑)もう一冊のタイトルは傷痕?でしょうか?どちらも面白そうなのでちょっと背伸びしてみます!スマホ片手に!
  • posted by うー 
  • URL 
  • 2014.07/08 14:29分 
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こちらこそありがとうございます 

こちらこそ、コメントいただけるのは本当にうれしいです(*^_^*)漫画も、立派な一冊だと思います!それに、意外とむずかしいというか、漫画や絵本なんかの方が、知らない単語があったりします。
ピヘンウンは、まさにうーさんが書かれていたような感じの本です。もう一冊ですが、オモニを描いた本のタイトル、うまく訳すのがむずかしくて……カルグクスの食堂を営むオモニが、よく包丁で手をケガしていたので、こういうタイトルがついたようです。
私、韓国文学は門外漢で、わからないことだらけなんですが、こうして記事を紹介したことをきっかけに関心を持ってもられるのが、とてもありがたいです。韓国の本が読める人が増えたら、こんなに嬉しいことはありません。
  • posted by はこ 
  • URL 
  • 2014.07/10 13:32分 
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プロフィール

はこ

Author:はこ
2011年3月~2014年3月の3年間韓国で生活。韓国滞在中の2013年2月に「もっともっと韓国」開始、完全帰国後も大阪からしばらくの間韓国情報を中心に発信してきました。が、帰国後日本、中国語文化圏の情報が増えたこともあり、タイトルを「もっともっとアジア」にしました。より多様な内容で進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!
拙著『不思議がいっぱい韓国』もよろしくお願いします!

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